【Q】相続人の中に行方不明者がいる場合、残りの相続人だけで遺産分割協議を行うことはできますか?

父が死亡し、相続が開始したのですが、遺書はありませんでした。

相続人は母と私と兄なのですが、兄は10年前に家を出たきり音信不通で連絡が取れません。

遺産分割協議は母と私で進めるしかないと思うのですが、それは有効なものと認められるのでしょうか?

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【A】専門家の回答

例えば、入院や海外勤務等でその場にいなかった人を除いて残りの相続人が協議の上作成したとしても、その遺産分割協議書は無効とされます。

相続人の中に生後1か月の赤ちゃんがいたらどうでしょうか?

その場合でもやはり遺産分割協議から外すことはできません。

 

相続人の中に行方不明者がいる場合

相続人の中に行方不明者がいる場合はどのように扱ったらよいのでしょうか。

 

「子供がいない都心に住む夫婦で、郷里に兄弟がたくさんおり、兄弟のうちの何人かは既に他界している。その子供たちが大勢いるが、生前の交流はない。」

 

そんな例はそれほど珍しいものではなく、その場合、音信が全く途絶えている、行方不明者が含まれていることもあります。

 

遺産分割と行方不明者の扱い

そのような場合、どうしたらいいのでしょうか。

全く連絡を取るすべがない場合は、裁判所へ失踪宣告の申立をするとか、不在者の財産管理人選任の申立をするとか、または家庭裁判所に遺産分割の審判を申し立てるなどの方法が考えられます。

 

いずれにしてもかなり面倒な手続きが必要になることは間違いありません。

突然、このような問題に直面することが無いように、自分にもしものことがあった場合に誰か相続人となるのか、推定相続人について、特に子のいない夫婦の場合はよく話し合って確認しておくことが必要でしょう。

 

問題を未然に防ぐ遺言

そもそも、行方の知れない、交流も無いような相手に遺産を相続させたいとは考えていないならば、あらかじめ遺言を作成しておくことは賢明です。兄弟や、その代襲相続人には遺留分はありませんので、遺言の作成ですっきり解決できます。

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K.I.G.行政書士事務所

東日本大震災をきっかけに、法律、制度、行政サービス等で知らない人が損をする事がないよう、市民に寄り添う市民法務サービスの提供を志し開業致しました。得意分野は相続、遺言、エンディングノートの活用といった市民法務分野ですが、各種許認可、会社設立のご支援等により中小規模の事業者を法律、手続き面で支えるサービスを提供しております。