【Q】一度作成した遺言書を撤回したい場合どうすれば?

一度は作成した遺言書ですが、内容を再検討したいと考え始めました。取り急ぎ作成した遺言書を撤回したいのですが、どうすればいいでしょうか?

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【A】専門家の回答

遺言の撤回は作成した遺言書によって少々異なります。以下をご参考にどうぞ。

 

自筆証書遺言の場合

遺言書は1通でしょうか?

その遺言書は手元にありますか?

もしも作成したのが1通のみで(複製等がない)しかもそれが手元にあるのであれば、それを破棄すれば遺言は撤回されます。シュレッダーに掛けてしまえば問題ないでしょう。

複製がある場合、そしてそれが誰か他の人によって保管されている場合は、それを回収してやはり破棄してしまえば問題ありません。

単なる撤回であればこれで完了です。

もし、別の遺言に変更したいのであればどうでしょうか。

その場合は新たに遺言書を作成する必要があります。そしてその遺言書に「以前の遺言はすべて撤回する」旨の一文を入れておくことでまったく新しい遺言を作成することが出来ます。

この一文がない場合、新しい遺言と矛盾しない部分はそのまま有効となりますので注意が必要です。

 

公正証書遺言の場合

公正証書遺言の場合は、原本が公証役場に保管されておりますので、同時に作成した公正証書の正本、謄本を破棄しただけでは遺言は撤回したことになりません。

そのため、新たに遺言書を作成しますが、その中で「以前の遺言はすべて撤回する」旨の一文を入れておくことでまったく新しい遺言を作成することが出来ます。

この一文がない場合、新しい遺言と矛盾しない部分はそのまま有効となりますので注意が必要です。

新しく作成する遺言書は公正証書遺言にしても、自筆証書遺言にしても問題はありません。

ただし、自筆証書遺言にした場合、遺言が無効になってしまう事がないよう書式、内容には十分に注意が必要です。

また、自筆証書遺言の場合は、裁判所の検認手続きが必要になりますので、この点も覚えておく必要があります。

やはり、公正証書遺言を作成する方がより安心と言えます。

 

遺言を撤回する遺言

新しい遺言を作成するのではなく、単に遺言を撤回したい旨を明らかにしたい場合は遺言を撤回する為の遺言を作成する事になります。

以下に例を挙げます。

 

例①:特定の遺言を撤回したい場合

遺言書

 

私、○○は平成××年×月×日付で作成した遺言を撤回する。

 

平成△△年△月△日

○×県△市□町X番地

遺言者 ○○ 印

 

例②:すべての遺言を撤回したい場合

遺言書

 

私、○○は以前に作成した遺言をすべて撤回する。

 

平成△△年△月△日

○×県△市□町X番地

遺言者 ○○ 印

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K.I.G.行政書士事務所

東日本大震災をきっかけに、法律、制度、行政サービス等で知らない人が損をする事がないよう、市民に寄り添う市民法務サービスの提供を志し開業致しました。得意分野は相続、遺言、エンディングノートの活用といった市民法務分野ですが、各種許認可、会社設立のご支援等により中小規模の事業者を法律、手続き面で支えるサービスを提供しております。