前もって十分に準備していた場合はともかく、多くの場合、やがて来ることはわかっていても、突然にやって来るのが相続問題です。たいていの人はまず「誰に相談したらいいか」で戸惑います。

財産の寡多や種類、相続人の数や関係性、などの条件の違いを考え、一番適切でリーズナブルな相談先を選定したいものです。

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弁護士への相談が必要なケース

法律問題の相談先として誰もが真っ先に連想するのが弁護士でしょう。仮に相続人同士で争いが起きてしまい裁判所での調停、さらには審判などの手続きが必要になってきた場合、代理人を務める事が許されているのは、弁護士だけです。

「揉めたら」弁護士、という事になるわけですが、弁護士の相談料、その他報酬に掛かる費用は比較的高額になる場合が多いです。そのため、「揉めてなければ」他の選択肢も検討してみるといいでしょう。

 

弁護士費用に関しては、日弁連(日本弁護士連合会)のホームページに「市民のための弁護士報酬の目安」が掲載されていますので参考にすることができます。

 

行政書士への相談が最適なケース

争いが生じた場合は弁護士の独壇場であるのと対照的に、相続人同士にトラブル等がなく、手続きのみを粛々と進めていけばいいような場合は行政書士に相談したほうがいいかもしれません。弁護士に比べ掛かる費用もかかる少なくて済むことが多いです。

行政書士は、行政と市民を繋ぐサービスを売りにしていますので、相続に関する書類の作成や相続人の確定のために戸籍を集めたり、遺産分割協議書などの事実確認に係る文書を作成したりします。遺言書を書いておきたい場合にも、行政書士に相談することができます。

 

ただし、不動産の名義変更(登記)、相続税の申告などは行政書士にはできないため、司法書士や税理士に依頼する必要がありますが、たいていの行政書士は提携先の司法書士や税理士を抱えていますのですべてお任せすることも可能です。その場合は司法書士や税理士の概算費用も事前に確認しておくと良いでしょう。

 

税理士への相談が必要なケース

相続税に関する相談を扱えるのは税理士だけです。

特に平成27年より相続税の大幅な増税があり、地価の高い東京都内を中心に遺産相続にあたり相続税を納めなければならないケースが増えています。遺産総額が1000万円+法定相続人の人数×600万円の基礎控除額を超えるような場合は相談してみる必要があるでしょう。

 

税理士にも不動産の名義変更(登記)や相続人間に争いがある場合の相談を行うことはできません。前述の通りです。

 

司法書士への相談が必要なケース

司法書士の専門分野は商業登記、不動産登記といった法務局への登記です。

相続財産に不動産が含まれていた場合は、被相続人から相続人への所有権移転が生じますので名義変更のための登記が必要になります。

そしてこの登記は自分で行う事も出来ますが、プロである司法書士に依頼した方が間違いもなくスムーズに行うことが出来ますので現実的です。他の仕業、行政書士や税理士には認められていない司法書士の独占業務です。

 

司法書士にも相続税の申告や相続人間に争いがある場合の相談を行うことはできません。前述の通りです。

 

信託銀行への相談が最適なケース

信託銀行は遺言信託というサービスを提供しています。

具体的には、以下のような業務が含まれます。

・遺言の作成に関するコンサルティングサービス

・作成した遺言書の保管

・遺言執行者としての遺言の執行

 

ただし、遺言信託を申込むだけで数十万円、保管料が年間で数万円、遺言を執行する場合には「資産の額×数%」が遺言執行報酬としてかかりますので、弁護士等に依頼する場合と比べても金額面で優位性は期待できません。

 

また、不動産の名義変更(登記)、相続税の申告などはできないため、司法書士や税理士に依頼する費用が別途必要になります。

 

ファイナンシャルプランナーへの相談が最適なケース

最近はファイナンシャルプランナーに相続対策の相談をするケースも増えています。

ただし、ファイナンシャルプランナーは法的な相談や手続きを受託する事は出来ませんので、あくまでも被相続人となる方本人が元気なうちに主に節税対策のために相談しておく(例えば保険や年金、不動産投資といったファイナンシャルプランナーの得意とする分野を駆使した対策)という利用になります。

 

【結論】遺産相続手続は誰に頼めば良いのか

いかがでしょうか。

結局のところ誰に頼めばいいのでしょうか?

〇〇士と呼ばれる士業には法律により取り扱うことのできる業務に細かく境界線が引かれていて、相続問題のようにその境界線をまたぐ事になる事案の場合には何れにしても複数の士業に相談する事になる場合も少なくありません。

ただし、相続問題を扱う場合、士業同士の横のつながりにより、ワンストップでサービスを受けることができる場合も少なくありませんので、まずは相続問題に強く、人間的に信頼できそうな士業を選んで相談してみると良いでしょう。

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K.I.G.行政書士事務所

東日本大震災をきっかけに、法律、制度、行政サービス等で知らない人が損をする事がないよう、市民に寄り添う市民法務サービスの提供を志し開業致しました。得意分野は相続、遺言、エンディングノートの活用といった市民法務分野ですが、各種許認可、会社設立のご支援等により中小規模の事業者を法律、手続き面で支えるサービスを提供しております。