遺言の例をご紹介します。
次にご紹介する例では、法定相続分通りに遺産を分割するよう遺言しています。しかし、法定相続分通りであれば遺言はなくても良いのではないかと思われるかもしれません。
確かに、遺言がない場合は法定相続分通りに遺産分割を行うことを基本に話し合いが行われるでしょうし、遺産分割協議が整わなければ、家庭裁判所での調停、審判も法定相続分を基準に行われます。
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遺言の目的と例
では、この場合、遺言は何のために行うのでしょうか。
まずはご覧ください。
遺言の目的
相続財産を分けてしまえば、相続自体はそこで終わります。しかし、大切なのはその後の相続人相互の人間関係なのではないでしょうか。
被相続人、つまり故人を偲ぶ想いはそれぞれですし、遺言も何もなければ個人の思いを知る術もありません。相続人それぞれが自分なりに故人の思いを想像することになります。当然それはバラバラな思いになるでしょう。
そのような中で遺産分割協議を行った場合、ほんの小さな気持ちのスレ違いがきっかけとなり、争いに発展してしまうことさえあるのです。そしてその時には被相続人はその場にいないわけですから争いの仲裁も、誤解を解くことも、何もできないのです。
そんなことにならないためにも、遺言によって遺産分割に関する被相続人自身の思いをはっきりと伝え、相続人それぞれに対する思いを添えることで、遺産よりも大切な人間関係を良好に保ちながら、財産の継承を行う事が出来るよう備えましょう。
遺言がない場合、遺言がある場合
遺言がないと、相続人の確定や、相続財産の目録作成に多くの時間と労力が取られます。
配偶者や子供でさえ知らない親戚関係もあるかもしれませんし、預金や不動産、あるいは価値のある動産の存在も探さなければ分かりません。最近では通帳を発行しないネット銀行などもありますので、財産の洗い出しは更に難しくなってきています。
遺言があっても、相続人確定のために被相続人の戸籍を収集する事や、財産目録の作成などはやはり行わなければなりませんが、何の情報もないところから始める場合と比べればかかる時間もまるで違うでしょう。
遺産分割に関しても、遺言がなければ、相続人それぞれの思いは複雑ですから、比較的スムーズに遺産分割協議が整ったとしても、心の中にいくらかわだかまりが残るかもしれません。
遺言があれば、それは故人の遺志としてはっきりしていますから、分割内容に万が一不満があったとしても、相続人相互の関係に亀裂が入るような事態は避ける事が出来るでしょう。
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K.I.G.行政書士事務所
東日本大震災をきっかけに、法律、制度、行政サービス等で知らない人が損をする事がないよう、市民に寄り添う市民法務サービスの提供を志し開業致しました。得意分野は相続、遺言、エンディングノートの活用といった市民法務分野ですが、各種許認可、会社設立のご支援等により中小規模の事業者を法律、手続き面で支えるサービスを提供しております。