遺言執行者とはなんでしょうか?
その役割、および職務はなんですか?
遺言執行者が不要なケースと必要なケースはそれぞれどんな場合でしょうか?
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遺言執行者とは
遺言執行者とは相続人全員の代理人(民法1015条) として、被相続人の遺言を実現するために働く人です。
つまり目的は被相続人の遺言の実現ですから被相続人(遺言を遺して亡くなった人)の代理人、と言うことも出来ます。
そして遺言の執行に関する遺言執行者の権限は強く、民法1013条には「遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない」と規定されています。
遺言執行者は誰が決めるのか?
遺言執行者は遺言者が遺言の中でその指定を行うことができます。(民法1006条)
遺言執行者は一人を指定することもできますし、複数人を指定することもできます。
自らの遺言(つまり最後の意思)が確実に実現されるように、遺言者自身が最も信頼できる人に遺言の執行を見届けてもらおうとすることはごく自然なことと言えるでしょう。
遺言執行者は民法の規定によって必要とされているケースと、そうではないケースがあります。
では、必要なケースで遺言者が遺言執行者を指定していなかった場合はどうなるのでしょうか?遺言そのものが無効になりますか?
遺言執行者が指定されていないからと言って、遺言そのものが無効になることはありません。遺言執行者が必要とされるケースにおいては、あるいは必ずしも遺言執行者が必要ではないケースにおいても、相続人あるいは他の利害関係人の請求によって家庭裁判所がこれを選任することができます。(民法1010条)
遺言執行者が必要なケースでは通常は遺言によって遺言執行者が指定されているはずですが、遺産相続が完了する前に遺言執行者が死亡してしまうことも考えられますので、そのような場合は家庭裁判所が新たに遺言執行者を選任することになるでしょう。
利害関係人とは、例えば、相続人ではないものの遺言によって財産の遺贈を受ける立場にある人や、同じく遺言によって相続人廃除の取り消しを受ける人などが当てはまります。そのような人たちは他の相続人とは利害が対立しますので、遺言が間違いなく執行されるために遺言執行者が必要になるでしょう。
遺言執行者が必要なケース
①遺言によって子を認知する場合(民法781条、戸籍法64条)
②遺言によって相続人を廃除、または廃除の取り消しをする場合(民法893、894条)
これらの場合は遺言執行者が必要とされています。
また、それ以外にも
①遺贈や遺言による寄付
②遺産分割方法の指定
③祭祀承継者の指定
など、関係者間の調整が必要なケースでは法律上の要求はないものの、遺言執行者が選任されていた方がスムーズに運ぶでしょう。
それ以外の場合は特に遺言執行者を必要としません。
遺言執行者になれない人
遺言執行者には誰がなれるのでしょうか。
逆の言い方をすれば、遺言執行者になれないのはどんな人ですか?
民法1009条には「未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない」と規定されています。つまり、これらに該当しなければ、特段資格などが要求されることはなく、誰でも遺言執行者となることができます。
遺言執行者の報酬は誰が決めるのか
最後に、遺言執行者の報酬は誰が決めるのでしょうか?
遺言者が遺言の中で決める場合もあるでしょう。
あらかじめ決められていない場合は、相続人が話し合って相続財産の中から支払うこともできます。または家庭裁判所が、相続財産の状況その他の事情によって定める場合もあります。(民法1018条)
遺言執行者の務めは、関係者間の調整を図りながら、相続開始とともに始まり、相続の完了までを見届ける必要のある、多くの時間と労力を要するものですから、相応の報酬が支払われることが望まれるでしょう。
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K.I.G.行政書士事務所
東日本大震災をきっかけに、法律、制度、行政サービス等で知らない人が損をする事がないよう、市民に寄り添う市民法務サービスの提供を志し開業致しました。得意分野は相続、遺言、エンディングノートの活用といった市民法務分野ですが、各種許認可、会社設立のご支援等により中小規模の事業者を法律、手続き面で支えるサービスを提供しております。