遺産争族の第3話は前の回の第2話に引き続き、築き上げた資産を三人の娘以外の人物、孫の婿に託したいとの願いをどう叶えるかという問題が描かれています。

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あらすじ『遺産争族 第三話』

河村家へ婿入した育生を取り巻く河村家の面々の眼差しは疑惑に満ちていた。楓の誤解は解消したものの二人の叔母たちそして義父の恒三、叔母の息子、誰もが遺産を巡って複雑な思いを深めていった。

そんな家族の様子を目にしながら龍太郎の「資産を育生に託したい」との思いは強まり、ついに家族全員を前に「養子にならないか」と育生に迫る。育生に養子になられては自分たちの取り分が減ると考えた龍太郎の娘たちは大騒ぎ、そして育生への陰湿なイジメは度を越すものとなっていく。

さらに恒三が出したはずの育生と楓の婚姻届が提出されていないことが発覚。どういうことかと恒三に詰め寄る育生。堪らず「実家に帰らせていただきます」と告げる。

家を飛び出した育生と追う楓は夜の街を歩き出す。

役所の警備員に婚姻届を提出する二人は幸せに満ちていた。

 

孫の婿を養子に出来るのか

今回は遺産相続にまつわる新たなポイントは登場せず、孫の婿を養子に迎えることで相続人に加えようという前回に取り上げられたアイデアの続きとなっています。

しかし孫の婿を養子に、つまり義理の孫を養子に迎えることなど出来るのでしょうか?

答えは「はい」です。

出来ます。

義理の孫だけではなく、実の孫を養子に迎えることも出来るんです。

最近ではビートたけしさんが自分の娘の子、つまり孫を養子にしたことが話題になったりしました。

 

相続人の数と相続税

さて、相続税に関する法律が改正され基礎控除、つまり税金が免除される限度額が大きく引き下げられてしまいました。同時に税率も引き上げられています。平成27年1月1日以降に開始した相続から基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」に改定されました。(以前は5000万円+1000万円×法定相続人の数)

例えば両親に子供2人という家族構成で父親が亡くなった時、基礎控除額は8000万円から4800万円に大きく下がってしまったわけです。

ところでこの計算式をよく見ると法定相続人が増えると1人増えるごとに600万円づつ基礎控除額が増えていくことに気づきます。税率が変わる境目にあるような場合、これが有利に働くこともあります。

ならばと、養子をたくさん迎えて相続税対策にしようと考えるかもしれません。実際過去にはそのような例もあったようですが、現在は相続税の計算上認められるのは実子がいる場合で養子は1人まで。(実子がいない場合は2人まで認められます)

これは相続税の計算上の話であって、相続権そのものは養子全員に均等に生じます。例えば実子が2人と養子が10人いれば相続人は12人の子供達となります。

もっとも、河村家の混乱を見るまでもなく、税金対策で養子を取っても争いの元になるだけで良いことはあまりなさそうですね。

 

夜中の婚姻届提出

ドラマの中で育生と楓は夜中の役所を訪ね、警備員に婚姻届を提出していました。9時から5時までの役所で夜中の婚姻届提出は可能なのでしょうか。

これも答えは「はい」です。

婚姻届は24時間365日提出可能です。夜間の場合は警備員が預かる形となるため受理手続き自体は翌営業日の朝に行われます。また全国どこの役所、役場にでも提出可能です。例えば海外挙式のカップルが式場近くの大使館に提出するなどというのも可能です。

 

今回のポイント『遺産争族 第三話』

義理の息子や娘、実の孫、義理の孫などいずれも養子として迎えることができます。

養子となれば実子と同等の相続権が生じます。

また、婚姻届は24時間365日、日本中のどこの役所、役場にも、また世界中の大使館等の出先機関にも提出することが出来ます。

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K.I.G.行政書士事務所

東日本大震災をきっかけに、法律、制度、行政サービス等で知らない人が損をする事がないよう、市民に寄り添う市民法務サービスの提供を志し開業致しました。得意分野は相続、遺言、エンディングノートの活用といった市民法務分野ですが、各種許認可、会社設立のご支援等により中小規模の事業者を法律、手続き面で支えるサービスを提供しております。