【Q】胎児にも相続権はありますか?

第二子を妊娠中の姉から尋ねられたのですが、出産前に相続が開始された場合、まだ生まれていない胎児には相続権は生じるのでしょうか?

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【A】専門家の回答

はい、あります。

遺産相続において、胎児はすでに生まれているものとみなされます。そのため相続順位が最上位であれば相続権が発生します。

残念ながら流産や死産であれば相続は無かったものとみなされます。

出生後不幸にして亡くなった場合はそこから相続が開始されます。

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どんな例が考えられるでしょうか。

父母に子が2人のケースにおいて父が死亡した時に母が妊娠中であった場合を想定しましょう。

母が無事出産した場合は子は3人となり、亡くなった父の遺産は配偶者である母が1/2、3人の子が残りの1/2を均等に分けることになりますので、この様になります。

母 1/2

子 1/6

子 1/6

子 1/6 ← 胎児

 

胎児が生まれなかった場合、つまり流産や死産だった場合はいかがでしょうか。

その場合は子は2人となりますので、次の様になります。

母 1/2

子 1/4

子 1/4

 

では、胎児が生まれて間も無く亡くなった場合は?

その場合は出生届と死亡届が提出されることになりますので、再び相続が開始されます。

次の様になります。

相続① ー父の死亡

母 1/2

子 1/6

子 1/6

子 1/6 ← 胎児

 

まとめ『胎児にも相続権はあるか』

相続②ー相続①で胎児であった新生児の死亡

母 全て

 

相続①で父の遺産の1/6を取得した胎児の出生によって相続が確定しますが、生後間もなく亡くなってしまったことにより、今度はその相続が開始されます。新生児の資産は相続①で受け継いだ父の遺産ですが、新生児ですので配偶者はおらず、相続順位第1位の直系卑属も当然いません。そのため相続順位第2位の直系尊属である母が全額(父の遺産の1/6)を相続することになります。

やや複雑ですね。

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K.I.G.行政書士事務所

東日本大震災をきっかけに、法律、制度、行政サービス等で知らない人が損をする事がないよう、市民に寄り添う市民法務サービスの提供を志し開業致しました。得意分野は相続、遺言、エンディングノートの活用といった市民法務分野ですが、各種許認可、会社設立のご支援等により中小規模の事業者を法律、手続き面で支えるサービスを提供しております。